第73回社会を明るくする運動 左京区公開講演会

京都保護観察所 金山忠夫所長 ご挨拶

日 時: 令和5年7月28日13時30分~15時15分
会 場 :左京区役所会議室
講 師 :村井 琢哉  氏  (山科醍醐こどものひろば 理事長)
演 題 :~子ども食堂でつくるつながり~
なぜ子どもはおとなに「困っている」ことを見せないのか

・ご挨拶 社会を明るくする運動左京区推進委員長 森元 正純区長
・来賓ご挨拶 京都保護観察所 金山 忠夫所長
・来賓者紹介
13:45~
・講演:村井琢哉様(山科醍醐こどものひろば理事長)
・演題:なぜ子どもはおとなに「困っている」ことを見せないのか
14:50
・質疑応答
15:10
・閉会の辞 社会を明るくする運動 左京区推進委員会事務局
左京区保護司会 上野修会長
15:15 閉会

講師:村井琢哉先生

気温37度、午後1時30分から開演という過酷な条件ではありましたが、
当日は会場をほぼ埋め尽くす97名の方にご参加いただき、最後まで熱心にご清聴いただきました。

講演内容:
貧困、DV、いじめ等を数値を用いて説明。両親が離婚した、シングルマザーの子どもの家庭は母親が働いていても収入が低い。低い収入の中で、子どもの教育に出せる額は少ない。子どものための貯金で入学金を払い、学費は教育ローンで借りて、卒業後、払っていくという子どもが多い。
大学に入学できても、卒業できなくて、教育ローンだけが残るという子どもが多い。入学金は親が払うが、学費500万円は、子どもが教育ローンで借りて、卒業後払う。生活費は子どもがアバイトをして稼ぐ。事故や病気などにより、入学できても、卒業できなくて、教育ローンだけが子どもの重荷になることが多い。
子どもと人間関係のない周りの大人が、子どもに「大丈夫?」と尋ねても、子どもは困っていることを言ってくれない。
子ども食堂を通して、子どもと関わりを継続して持つことが大切。食事を作ることに追われて、子どもと関わりを持てなかったら、何のために子ども食堂をしているのかということになる。子どもと関わるときに、子どものマイナスのことをいうのではなくて、プラスのことをいうことが大事。プラスのことをいうことにより、子どものプライドが保てる。
子ども食堂は、子どもとのつながりを作る場であり、子どものプラスの部分を通して、子どもと関わりを続けていくことにより、子どもとの信頼関係ができていくのである。
戦後間近の日本は、みんな同じく貧困であった。現在は、一見して貧困が見えない。現在、貧困の子どもが6人のうち1人いる。以前の日本は、貧困から抜け出すことができやすかったが、現在の日本は、日本自体に活力がなく、貧困から抜け出すことが難しい。貧困から抜け出すのに4世代かかると言われている。生活保護を受けている親の子は、親が働いている姿を見ていないから、大人になっても働かない。

講演をお聞きして:
村井先生の講演は両親が離婚したケースを例に、シングルマザーのこどもの家庭について分かりやすく説明をいただきました。シングルマザーは非正規雇用が多く収入が低い。具体的な収入額と、地区別家賃の相場、学費、などを対比。
家庭の事情やお金の問題に絡む状況で、子どもたちが大人に「困った」を言えない社会になってきていることが良くわかりました。
私たちが子どもだったころ、生活は豊かでありませんでしたが、町内でいっぱいの友達と夕方まで楽しく遊ぶことができました。そして友達同士で豊なコミュニケーションにあふれていました。社会人となってからも、まじめに働けばそれなりの生活と共に心豊かな生活を保障されていたように思います。
ところが今の日本は、大変に「貧しい環境」へと激変してしまっているようです。おそらく子どもたちは、我々大人の想像を絶する環境におかれていると考えなくてはなりません。
私たちは、社会を明るくする運動の一環として、薬物乱用防止啓発活動を含む、さまざまな活動を行なっています。地域社会が安全で安心に暮らせることを念頭においた、犯罪に手を染める事がないことを願う啓発活動です。
本日の講演を聞かせていただき、従来からの啓発活動に加えて、こどもたちに寄り添い、子どもの意見を聞き、子どもから信頼され、相談をされる存在になるような活動を模索していかなければならないと強く感じました。

村井先生貴重なお話ありがとうございました。

出席いただいた来賓者:
京都保護観察所 金山 忠夫所長様
京都少年鑑別所 宇治田 直樹次長様
左京区社会福祉協議会 藤田 徳治郎会長
左京区社会福祉協議会 木俣紀子事務局長様
左京北地区更生保護女性会 宇田川 英子会長様
左京南地区更生保護女性会 山川 美枝子会長様
左京区薬物乱用防止指導員協議会 上野 修会長様
左京区BBS会    出口 花会長様
川端少年補導委員会 下野 治夫会長様
市会議員 隠塚 功先生、熊澤 真昭先生、櫻井 泰広先生
前原誠司国会議員から祝電を頂戴。

共催団体、左京北地区更生保護女性会、左京南地区更生保護女性会、左京区薬物乱用防止指導員協議会、左京区保護司会、左京区BBS会4名を含む
約22名の皆さんに、会場設営、配布物準備、・各席への配置、後片付けなど、朝11時からから夕方4時までという長時間ご協力いただきました。

開催に際しては7月14日午後8時から、関係団体10名とZOOMで事前打ち合わせを実施。
会場設営、受付、シナリオの共有、各部所の責任者を決定し当日を迎えました。

司会進行:椹木 稔
会場設営責任者:椹木副会長・鞍谷副会長・宇田川会長・出口会長・山川会長
ビデオ・写真撮影:加納 正博、BBS会 久保康裕
文責:椹木稔 上野 修      (順不同・敬称略)