12月20日(火)「第72回社会を明るくする運動」の地域活動の一環として、下鴨中学校3学年428名対象に、薬物乱用防止啓発授業を行いました。
下鴨警察署生活安全課少年係、市教委体育健康教育室、下鴨中学校PTA本部、学校運営協議会からの見学もありました。

例年、7月の「社会を明るくする運動」の強調月間には、生徒会、委員会の皆さんと、京の社明くんと一緒に登校時の「あいさつ運動」をしていますが、啓発授業は初めての開催です。2限目1年生、3限目2年生、4限目3年生と全校生徒対象は初めての試みでドキドキです。
1・2年生は前半、薬剤師による「薬物」についての講義、後半「シミュレーション劇」
3年生は前半、弁護士による「薬物犯罪の危険性」を講義、後半「シミュレーション劇」と各学年2本立ての授業です。
まず、1・2年生の前半は、保護司でもある薬剤師の藤田先生が、専門的な薬の話からスタートです。興奮作用・幻覚作用・抑制作用のある薬物の種類と恐ろしさを解りやすく説明、「良い薬」でも間違った使用方法、過剰摂取するとオーバードーズになってしまい命を落とすことがあることも説明。そのあと薬物乱用の話から、なぜ止められない?抜け出せない?理由をパワーポイントを使って講義。

3年生の前半は、弁護士でもある和田先生の「薬物犯罪の危険性」についての講義です。
ストレートに覚醒剤の使用を例に懲役の話からスタート。
なぜ薬物を使用しただけで重い犯罪になるのか?との説明では、自分だけではなく、社会全体にも関わる損害について解りやすく説明してくださいました。
再犯率についても窃盗などの一般犯罪と数字で比較することにより、生徒たちには理解しやすかったと思います。

薬剤師の藤田先生、弁護士の和田先生からのメッセージとして共通していたのは「薬物には関わらないという強い意志」であり、428名の生徒には響いたと思います。
さて、3学年とも後半はシミュレーション劇です。
前半の先生からのメッセージを引き継ぐように、「その時→その場所に居たとしたら→自分だったらどうする?」を考える時間です。
ほとんどの生徒は、「まさか、自分には関係ない」「そんな場面には出くわさない」と考えているでしょう。
今回の啓発授業にあたり、下鴨中学校担当の村上先生と3学年の学年主任、教頭先生と合同で詳細打ち合わせを行い、じっくりとしたストーリーにするため、各学年とも準備した4ケースのうち3ケースに絞りました。
岡崎中学校で過去3回、真面目な中にも笑いのある楽しい授業ができていましたのでイメージは掴めていますが、大きな違いは学年生徒数が単純に倍となる140名前後。
小さな動きでは後ろの生徒まで見えづらく響かないかもしれない。如何に舞台上に注目してもらえるかを前日まで打ち合わせを繰り返し、当日を迎えました。
CASE 1(先輩から誘われたとき)とCASE 3(編集者から誘われたとき)は、岡崎中学校とほぼ同じ内容です。
CASE 1
先輩から誘われた時…あなたはどうする?

CASE 2
岡崎中学校での授業では、ネット上の場面設定であるという説明が不十分であった経験から、大掛かりなシチュエーションをスクリーンに映し、地球の映像から日本、京都の下鴨中学校にズーミングしました。毎日授業や部活動で、下中生としてひとつのテーマ「下鴨中学校」で繋がっていることを説明。
そこから、インターネットを介して、何時でも何処からでも誰とでも繋がれる便利さを説明。しかし、実際の舞台でのシナリオでは、一転して現実の逮捕劇が始まります。
各学年とも体育館には、140名前後の生徒に先生方、見学者、保護司を含むと約155名~160名です。皆さんに、理解していただけるか不安ながら…ヨ〜イ スタートっ!
幼馴染みの二人は、SNS上で、アイドルグループのファンサイトで不特定多数の人たちと繋がっています。衝撃の結末が待っていました…

男子学生A君とBさんは「SJH428」のサイトで複数人でメール交流をしています。同年代になりすましていた薬物の売人は言葉巧みに、個人情報を聞き出し、荷物を送ろうとします。
A君は、そのやりとりを見て怪しいと気付き、危ないとBさんにアドバイスしますが、楽観的な性格のBさんは気にする事なく個人情報を送り、その結果、荷物が届いてしまいます…
その頃、売人は薬物犯罪特命課の刑事によって逮捕されます。数日後、Bさんのもとにまで捜査が及び、刑事に任意同行されるストーリー。
インターネットがあれば、世界中の人達とメールやSNS、インスタなどで繋がることが可能です。ショッピングサイトを使えば何処からでも買い物ができる便利な時代です。
反面、個人売買では匿名配送が出来るようになり、少々気がかりなことが起こっているのも事実です。
CASE 3
雑誌編集者の連絡先を教えて…あなたはどうする?
編集者からの誘いにどうする?
下鴨中学校での啓発授業は初めてで、先生方も少なからず不安の中でのシミュレーション劇だったと思います。が、イザ始まると、不安を他所に、演者の熱演、シナリオにアドリブが入って、笑いのある授業となりました。
そして必須となった「マイクリレー」が始まります。
やはり毎回出てくる感想に「先輩や親友に誘われたら、断り切れるか自信がない」「複数で煽られたら逃げれないかも」とストレートに危ないという考えの意見が出ました。
この意見は、シミュレーションとして、身を以て考えたからの意見だと思いますし、みんなで共有できたことによって、しっかりと自分自身と置き換えて考えてくれると思います。出演してくださった先生、市教委の先生、PTA役員からも感想を頂きました。
「自身を守り抜くために何をするか?」を考える良い機会になり、時間に制約がありながらもでしたが、満足のいく授業ができたと思います。
下鴨中学校のHPで、この啓発授業について紹介していただいております。
文責 川見善孝
写真 鈴木美智子・佐伯知彦・伊藤恵子・久保優佳・村上ますみ